雪の中で

初めて自分の力でお金を稼いだのは高校一年の冬休みだった。山岳地帯への旅に備え、旅費とカメラ代を稼ぎたかったからだ。冬だから、いつも通っていたスキー場の周辺には仕事があった。親の口利きでレンタルスキーショップを紹介され働くことになった。

仕事は朝六時から夜六時まで。スキーの朝は早いのだ。まだ暗いうちからリフトの列に並ぶスキーヤーたちを思い出す。当時はもうバブルは弾けたあとだったが、スキーをする人はそれなりに多かった。スノーボードも徐々に出てきたところで、両方完備しているのが私の職場の売りだった。

職場までは歩いて通った。雪が多く自転車は危険なのでやめていた。まだ誰も活動していない真っ暗な道。街灯が白い雪を照らす。ザクザクと雪を踏みしめるように歩く音が響く。

家から少し歩き、大きな道に出るとオレンジ色の街灯に変わる。街灯自体の数も増え、周囲一帯がオレンジ色になるのが私は好きだった。単純に暗闇から抜け出せ安堵していただけかもしれないが。空を見上げると、暗闇から雪が降ってくるのがわかる。綺麗だな。この雪が積もって、この街に冬の収入という富をもたらしているのだな、と思う。スキー場が出来ることでおそらく環境破壊に関する事柄も論じられただろうが、それ以上に経済的効果や過疎化対策が重要視されたのだろう。そのおかげで私はこうやって働くことができている。

職場に着き前日に乾燥室で乾かしていたウエア類を取り込み、新しくセッティングする。これから楽しいスノーリゾートへ向かおうとする人々のウエア選びに付き合う。スタッフのお茶を入れたり灰皿を片付ける。そうやって得たお金が、私の旅費やカメラ代となってまたどこかに還元されていく。社会って面白いな、と私は気付いた。雪深い町は、ちゃんと世界全体につながっていた。