文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

『カレンダー』との再会

図書館の児童コーナーで、子どもに本を選ばせる。いわゆる「ジャケ買い」のように「ジャケ読み」する我が子が、次々と本を持ってくる。対象年齢が自分より高めのものを選ぶことが多いが、漢字にルビがあるとだいたいは読めるので、よほど上の学年のものを持ってこない限り止めないでいる。

「この絵、どこかで見たことがある……」と言いながら持ってきたのは奈良美智さんの絵が表紙になった本。ああ、これは前に美術館で見たことがある絵だね。読みたいと言うので中身を見たが、これは小学校高学年向けなのでは。ん?タイトルは『カレンダー』。この話、この作者、どこかで……。

カレンダー (福音館創作童話シリーズ)

カレンダー (福音館創作童話シリーズ)

 

思い出した、この本は小学校高学年から中学生頃に読んだ本だ。奈良美智さんの表紙になっているから気づかなかった。 Wikipediaによると初版は1992年に出ている。間違いない、中学生になったばかりの女の子が家の前で大人の男女を「拾う」話。夢中になって読んだけど、話のラストがどうだったか忘れてしまった。子どもには「これは〇〇ちゃんにはちょっと難しいけど、ママが読んだことある本なのでママが借ります」と言い「借りる本」の山の中へ。

この本にハマったあとは、同じひこ・田中作品『お引越し』も読んだ。これは相米慎二監督によって映画化されている。あの田畑智子さんのデビュー作。桜田淳子中井貴一が両親の役をしている。本も映画も良かった。終盤の大文字焼きのシーンがものすごく長くて寝てしまいそうになったけど、その長さが幻想的な雰囲気を生んでいた。

『カレンダー』も『お引越し』も、年月の経過とともに良くも悪くも変わってしまう人の心、そしてそれを観察し受け止めようとする少女の物語だ。大人の都合や変えられぬ運命に対峙する子ども、という表現でもいいかもしれない。

久々に読んだ『カレンダー』は新鮮だった。内容を忘れていたのもあるだろうし、自分が大人になってしまったというのもあるだろう。そして2014年版には「その後」が描かれている。「その後」を読むことによって私はやっと、そのタイトルの意味を知ることができた。