コンクリートに木の家具

昨日の続き。検査を終えた私は街を歩いた。前の人が長引いて随分遅くなってしまった。このあと一件用事があったので、あまりゆっくり食事をしている暇はない。小走りでカフェを探す。

最近コーヒーセミナーに行ってみたいと思っていくつか調べていた店の前を偶然通りかかった。まだ入ったことのない、珈琲に力を入れているという噂のカフェ。これは入るしかない。

その店は打ちっ放しコンクリートに木のテーブルと椅子が置いてある店だった。シンプルでスタイリッシュ、という印象。最近、こういうインテリアをよく見かける。雑誌の『casa』なんかに載ってそうなイメージ。

オーダーしたのは「本日の珈琲」とスコーン。サンドイッチや軽食は無かった。店の本気度が伺える。さらに、客はすべて外国人だった。街の中なので外国人観光客はよく見かけるのだが、全員外国人なのは初めてだ。私の後に入ってきたのも外国人だった。

席からドリップされている様子を眺める。店員さんの手つきは綺麗。茶室にいるような気持ちになる。私もつい、姿勢を正す。しずしずと運ばれてきた珈琲とスコーンを迎え入れる。

珈琲はやはり美味しい。最近美味しい珈琲を飲みすぎて、なんでも美味しいように感じるだけかな?と思ったがやはり美味しい。ほのかに酸味があるが、嫌な感じがしない。甘みとちょうどいいバランスだ。スコーンも生地が細やかで珈琲に合う。

ある程度飲み進めたところで改めて店内を見回す。コンクリートに木の家具、最近本当に増えたと思う。だからあまり追随したくないけれど(追随しようにも家を建てる予定はない)、どこか懐かしい。これはもしかして土間を思い出すからだろうか。

長く住んだ田舎の家は、築百年ほどの建築物だ。玄関は昔の家にありがちな土間で、自転車やバイクを停めるのにちょうどよい。私が家を出てから初めて他の家の人間として敷居を跨いだときは、親の気まぐれによる買い物で卓球台が置かれていた。それが妙に落ち着いたのだ。以後、介護により置く場所を失ったソファが置かれているのも目撃したが、まるで異素材ミックスのような面白さと懐かしさを生み出していた。

このイマドキな「コンクリートに木の家具」もそのパターンかもしれない。違うもの同士が合わさって、なんだか興味をそそるものになっている。ただのコンクリートでは寂しすぎるところに木のぬくもりを、木ばかりだとナチュラルさが多くなってしまうところにコンクリートで引き締めを。うまいこと出来ている。