深夜のキッチンで

しんと静かな深夜のキッチンで

米びつをひっくり返した

家族を起こさぬように

とりあえずこれ以上こぼれぬように

なんとか姿勢を立て直す

 

砂場の砂をすくうように掻き集める

キッチンマットの奥にある粒は見なかったことにする

明日の私に掃除機で吸ってもらう

 

デジタルスケールの液晶表示が急に消えた

ここまで強力粉が何グラム入ったか

いまの私にはわからない

さっきまで眺めていた数字は忘れてしまった

これでは明朝のパンをホームベーカリーにお願いできない

 

なんとなくいつもの量になったところで手を止めてみる

容れ物は少し重い気がする

明日の私に家族への言い訳を託す

 

おやすみなさい