何もない日の素晴らしさ

夫のお世話になった方が亡くなった。そんなに年も上ではなく、兄のように慕い・時に反発し・相手の懐の深さで自然と仲直りできた話を何度も聞いた。

亡くなったのは不慮の事故によるものだった。交通事故とは違う、まったくこれまでに思いつきもしなかった理由だった。少し前にバッタリ会ったときはあんなに普通だったのに、と夫は細い声で言う。

つい日頃から「病気にならないように気をつけなくちゃ」「交通事故に遭わないように安全運転で」と言っているけど、その一方でそれ以外の理由で亡くなることもあることを忘れがちだった。

私達が結婚するときにはその方も披露宴に招待した。結婚式にありがちな「花嫁の手紙」を、私は両親に向けて読んだ。つまり亡き父にも読んだわけで、後日その方は「自分が親になったら、あのような手紙を親目線で聞いてしまう。ましてや自分がもし死んでしまって、と想像したら……」と仰っていた。まさかそのときは、今回のような未来が来るなんて思ってもみなかった。

明日もまた普通の一日が始まる。特別な何かがなくたっていい、ただいつものように家族がいてしあわせに暮らすことができれば。