文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

レジンに夏を閉じ込めて

ここのところ私に与えられたミッションは、蝉の抜け殻を収集することである。先日、羽化直前の蝉を見た子どもに、改めて蝉の抜け殻を見せたところ異常に盛り上がったのだ。これまでも夏には蝉の抜け殻を見つけて喜んではいたが、実際に触ってブローチのように胸に付けるとテンションが高まったのだろう。「今年の夏は蝉の抜け殻をあつめるぞ!」と張り切る我が子。

したがって私も出先で蝉の抜け殻を見つけた際には採取するよう厳命されている。つぶれないように小さな空き箱をカバンに持ち歩いて、それらしき場所を探す。都会っ子の夫は、抜け殻は木の上部にあるイメージを持っていたようだが、実際は下部だ。蝉が地中から出てきて、ある程度つかまりやすい「ここだ」という場所を見つけたらそこで羽化する。私たちの住む街では、植木につかまっている姿を見かけることが多い。

今日は子どもと、いつもと違う道を通ってみた。すると抜け殻が三つ見つかった。綺麗なものを一つ選んで持ち帰る。午後、型に抜け殻を入れUVレジンを注ぐ。西日が降り注ぐベランダに出して光で固める。これが現在難航している。UVレジンの量が足りない日もあれば、型取り粘土の材質がUVレジンと合わない日もあった。まるで理科の研究、そして芸術のように、日々作戦を変え作業を進めている。夏休みの研究課題は無いのに、勝手な研究をして親子で夏を楽しんでいる。この夏をレジンに閉じ込めることができたら、きっと私たちにとって忘れられない思い出になるだろう。