秘密基地にて

暑さに耐えかねて自動販売機で買ったコークを飲んでいる。このコークはカロリーゼロ、しかもトクホというからきっと体に良い。骨は溶けない。

子どもをスクールに送って、同じようにお子さんを送りに来ていた同じ幼稚園のママさんと話す。「昨日水着買えた?」「か!え!ま!し!たっ!…でも度付きゴーグルが取り寄せになっちゃって。明日やっと泳げそう」ママさんと別れ、私は今日過ごす予定の場所へ向かう。

ここは私のお気に入りの場所だ。秘密の場所とまでは言わないが、時々一人で過ごしている。建物自体は空気も悪いしトイレも汚い(これ重要)公共施設なのだが、その地下にある部屋がいいのだ。

ここを地下と呼んでいいのだろうか。普段建物のエントランスが一階だと当たり前のように思っているけれど、ここのエントランスをよく見ると、地面から少し高い場所にある。正確にはエントランスは二階なのだ。そして私は地下のように感じるが実は一階のこの部屋で、大きな窓から池と樹々を眺めている。池があるからやはり一階か。持ち込んだコークを飲みながらスマホを触ったり本を読む。

こんな「一階にみせかけて実は二階」という建物を初めて見たのは小学生の頃だった。クラスメイトが引っ越して、その中古住宅に住むようになったのだ。道路から見ると完璧な平屋。しかし道路はその家を囲うように真横でカーブし、その家の裏手へと続く。その裏手へと続く道は斜面のようになっており、裏から見ると二階建てなのだ。

…文章だけでこれをちゃんと説明できる自信がない。図にしてみよう。f:id:left_right:20170801104316j:image

このお家にお邪魔したときは静かに興奮した。平屋に見えるのに「地下におりる階段」がある。地下と思ったその場所が実は一階。なんて魅力的なんだ。なんて秘密基地的なんだ。

「一階にみせかけて実は二階」というのは珍しいことではないだろう。歩道橋に面したビルならありそうだ。実際、そういうショッピングセンターに遭遇したこともある。しかし住宅までもそのようになっているとは。一階にいるとき、二階の玄関から人の気配を感じたときのワクワク感、やはり秘密基地だ。