頭の中に残ったままで

ミクシィが流行っていたころ、私の周りはみんな長文の日記を書いていた。そしてそれをしっかりと読んでいた。今よりずっと若く、時間に余裕のある暮らしをしていたからかもしれない。誰かの日記を読んで「あのひと最近、リリーフランキーの『東京タワー』読んでたから文体がリリーなんだよね」と友達が言っていた。

文体が移ってしまいそうな気持ちはよくわかる。特に心動かされる本を読んだときは。頭の中がその世界のまま自分の日々を過ごしてしまったら、自然とそうなる。

私は今朝から小澤征爾の『ボクの音楽武者修行』を読んでいる。Twitterで面白いと紹介されていて、気になったからだ。あの小澤征爾がどんな日々を過ごしたのか。内容を深く調べぬまま子どもの「うんこ漢字ドリル」と共に注文した。するとこれは壮大な旅行記であり、準備の段階からワクワクドキドキさせられるものであった。

午後から家族で出かけることにしていた。なんとなく港を訪れたのだが、そのままなんとなく船に乗ることになった。私も夫も、そういうのは嫌いじゃない方だ。行き当たりバッタリの旅が急遽はじまる。デッキで風をあびながら、子どもは揺れて怖いと私にしがみつく。たどりついた島には、ひと気のない小さなビーチがあった。子どもと夫が気に入った貝殻を拾い、私がそれを撮影する。あっという間に最終便の時間。私たちは再び船に乗り込んだ。

また同じ港に帰って来た。トータル約2時間の船旅。キラキラ輝く海を見ながら語り合う時間。なかなか良いものだ。小澤征爾の旅の世界が頭に入っていたから、私たちもつられて旅に出てしまったようだ。このブログを書いたら、本の続きを読もう。

ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)

ボクの音楽武者修行 (新潮文庫)