頭の中が宇宙

グランドピアノを弾く機会を貰ったので子どもを連れて行くことにした。ただ、与えられた一時間は長すぎる。子どもの集中力がそこまで持つとは思えない。というわけでシェアする人を募集したところ高校の同級生が立候補してくれた。彼女は音楽のプロで今は育児休業中。お子さんを連れて参加してくれるという。

ただのグランドピアノではなく大きなホールの舞台にあるピアノ。係の人に案内されてホールに足を踏み入れた。客席の後ろにいても聴こえる音なんだろう。素人ながら気持ちも高まる。

まずは我が子から。いつもの練習の曲を…と言いながら、他の人も居る手前照れてなかなか普通どおりに弾かない。楽譜にないフレーズを勝手に弾いたりとやりたい放題である。しょうがないので私がいくつか音を弾き、音当てタイム。絶対音感ぶりを発揮する。

子どもの集中力の途切れたところで交代。同級生は歌も上手いため弾きながら歌う。カッチーニアヴェ・マリア。うっとりするくらい素敵。さらに牡丹と薔薇のテーマ曲も。

そこで交代して我が子が弾き始めたのは以前このブログにも書いたエンヤのonly time。驚く同級生に「ああ、これ前に先生に弾いてもらってね…」と話していたら「いや、これは牡丹と薔薇の流れからのエンヤだわ。牡丹と薔薇でエンヤを思い出したんだね。これ、たぶん曲のベースの部分が同じだと思うから…」と同級生は言った。

素人の私では気づけなかったそういうこと、これまでにもかなり取りこぼしているかもしれない。もともと我が子の頭の中にある壮大な宇宙的ななにかを面白がってきたけれど、音楽に関しては特に謎だ。それを話すと同級生は「芸術家ってみんな頭の中が宇宙よ!」と言う。私たちは笑った。

その後も数曲弾くごとに交代していった。子どもは同級生が弾くのを聴き喜んでいる。しまいには後ろで踊り始める。グランドピアノの音の響きや弦の動きを凝視する我が子に、同級生はペダルを操作してピアノの仕組みを教えてくれた。いつものレッスンとは違う音楽の体験。きっと子どもの心の中にはしばらく、あの音が反響しているはずだ。