見つかった旅行記録

休日、押入れの整頓をしていると覚えのない封筒を見つけた。中を開くと新婚旅行のチケット半券やレシート、そして旅行の行程やかかったお金をメモしたモレスキンの薄いノート(三冊セットのうちの一冊)が入っていた。わあ、っと家族みんなが駆け寄ってくる。

新婚旅行は外国に行った。夫が一度行って気に入っていたのと、私も気になっていた場所だったから。長く他国の植民地で、いまどんな風になっているのか興味があった。

旅の記録は自宅から空港までのルート検索メモから始まっている。空港そばの牛丼屋に立ち寄ったのだが、同じ店で食べていた若者がのちに税関の職員として目の前に現れたときには驚いた。その若者が旅行鞄やスーツケースを全く持っていなかったから印象に残っていたのだ。昼休憩だったんだな。そんな記憶が徐々に蘇ってくる。

現地では旅の内容を詳細に記録していたわけではないが、食事に使った金額の横にメニュー名や材料が書いてあった。それを検索すると訪れた店の名前が出てきて「お店の一押しメニューじゃん!食べて良かったな」と今更気づく。ガイドブックに頼らず自分たちの感覚で適当に店やメニューを選んだから、当時は何も解っていなかったのだ。

残念ながら最後の夜から帰宅までの記録は書かれていない。それだけ楽しむことに注力したのだ。そういえばちょっとしたクラブに行ってDJやライブを眺めながらお酒を飲んだ気がする。翌朝は浮腫んだ顔でノーメイクのまま飛行機に乗ったっけ。記録がないというのも、また証拠のひとつだ。

同じ封筒の中には旅行で乗った飛行機の小さな小さな模型、それから土産物のキーホルダーがあった。親戚の子に買ったお土産が余っていたのだ。それを早速我が子が自室に飾っている。自分も一緒に旅行に行きたかった、と子どもは言う。まだあなたがお腹にも居ない頃だからね?と笑う。もしかしたらあの土産物は、いまここで子どもに渡すために上手いこと残されて居たのかも……なんてね。