圧倒的存在感

雨の休日、夫と子どもが早口言葉を練習し笑いあっている。「赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ」「貨客船万景峰号」「第二著者」……お馴染みのものからニュースに出て来そうなものまで。ママも何か言ってよ、と言われたので室内で洗濯物を干しながら「新春シャンソンショー」と答える。

早口言葉で思い出したが、私は高校のとき放送部だった。活動は不定期で、文化祭のステージ進行と体育祭のナレーションと選曲をするだけだった。部員も少なく、十人も居なかったと思う。私の学年以降、後輩は一人も居なかった。

ある日のミーティングで「今日〇〇くん来るらしいよ」と先輩が言った。その〇〇くんというのは先輩の同級生で幽霊部員。一度も部活に来たことがない。そしてドアをガラガラと開けやってきた〇〇先輩は神々しいオーラを放っていた。中学も同じだったが、その頃と変わらぬ顔の美しさ。物静かで、ほとんど言葉を発することなく美術彫刻のようにその場に佇んでいた。

〇〇先輩を次にじっくり見たのは数年後、テレビの中だった。〇〇先輩はいわゆる芸能人になっていたのだ。顔つきは一切変わっていない。やはりあのくらいの輝きがある人が芸能人になるのだな。最近も〇〇先輩をテレビで見かけた。変わらぬ美しさと存在感だった。