神保町クラブ『りぼんメモリアル』

あれは小学校中学年ごろのことだったか、クラスメイトが「りぼんか、なかよしか」という話で盛り上がっていた。どうやら本のタイトルらしい。それまで児童書や『小学○年生』の雑誌しか知らない私には未知の言葉だった。帰宅して親に聞くと「それは隣町の自転車屋にあるかもしれない」と言った。

私の住む町は田舎すぎて本屋が無かった。いつも本を買うときは遠く離れた街へ買い出しに行くとき。どうやらそこまで行かずとも、隣町の自転車屋にはその本が僅かに並んでいるという。私は親にお願いして買ってきてもらうことにした。それが、私と漫画雑誌『りぼん』とのファーストコンタクトである。

小学校卒業あたりまで買い続けた『りぼん』。なかでも私が買った号から連載がスタートした吉住渉の『ハンサムな彼女』のスタイリッシュさには度肝をぬかれた。マレーネ・ディートリッヒの名前が出てくる少女漫画なんてカッコよすぎる、と今振り返っても思う。単行本で読んだ『四重奏ゲーム』には「紺のRX-7だ(マツダのスポーツカー)」というセリフまで登場する。

そしてスタイリッシュさに憧れるだけでなく腹を抱えて最高に笑えた岡田あーみんの作品たち。少女漫画界に咲くドクダミの花、と称される岡田あーみん先生を崇めたてまつる人々は多い。先程ごくプライベートな鍵付きインスタに投稿したら、隠れあーみんファン(通称あー民)の友達からいつも以上のリアクションを頂戴した。

吉住渉作品と岡田あーみん作品は真逆、対極にあるが、私はどちらも大好きだ。Kindleには両氏の作品を入れている。

そんなりぼんっ子の私を震えさせたのが表題の『りぼんメモリアル』という同人誌だ。これを書いた神保町クラブのお二人、れもんさんとスカッシュさん、確実に同世代である。しかも、れもんさんはあのデイリーポータルZのライター・さくらいみかさんと同一人物。面白くないわけがない。

同世代に限らず、1968〜1991年生まれの千人から集めたアンケートには、それぞれの思い入れある作品の話、ふろくの話が盛りだくさん。吉住渉作品の舞台となった場所を「聖地巡礼」し「そりゃこんな街ならスタイリッシュな作品になるわ」と納得させられっぱなし。そして岡田あーみん先生への壮大な愛。あーみんファンサイトの掘り起こしなど、長年の熱意が活きた冊子となっている。

りぼん派だからというだけでなく、自分がいま本づくりをしているからこそ余計にこの本の密度や心意気に感銘を受けた。こんな思いがけない作品に出会えるのが同人誌の良さなのだな。

りぼんメモリアル - 神保町クラブ - BOOTH(同人誌通販・ダウンロード)

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