文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

人生でいちばん孤独な年越し

高校三年の大晦日の夜、たった一人で年越しをしたときの辛さたるや。あれ以上の孤独や虚しさは無かったと思う。あれと比較すればクリスマスの孤独など大したことはない。

当時の交際相手も年越しは自宅で過ごすという。一応18歳で田舎の高校生で、外で友達とはしゃぐような環境では無かった。

夏に家を出てから当然私は家族の住む家に戻っていなかった。あそこに戻るくらいならこの孤独を受け止める。そう思いテレビをつけた。いつものように紅白が放送されている。そのままヤカンで湯を沸かし、インスタントカップ蕎麦の容器に注いだ。虚しいなら消してしまえばいいけど、消すともっと悲しくなる。

私は「あのエッセイは、こういうことか」と思った。レピッシュというバンドの狂市こと杉本恭一が書いた『徒然なる毎日』。もしかしたら続編のほうだったかもしれないけれど、彼と同郷のMAGUMIレピッシュのボーカル)が上京して初の年越しのときに強烈な虚しさを感じたというエピソード。

自分も同じ体験をして、よりその侘しさが理解できる。別に家族で過ごす義務などない、昨日の夜と同じように過ごせばいいのに、なんであんなにつらいのだろう。その日はテレビを点けっぱなしにして寝た。

あれから私は何度か孤独な年越しを経験した。経験値をあげるごとに虚しさは薄れていったけど、無くなることはなかった。今回の年越し、私は結婚以来そうしているように、自分の家族と過ごす。そして蕎麦を食べ紅白を見て、二十年以上ほぼ一人で年越しをする独居老人の祖母に電話をする予定。

今回ひとりぼっちの年越しを過ごす人が、もしここを読んでいたとしたら。あなたのことと、過去の自分のことを考えている人間がここにも居ますよと伝えたい。

徒然なる毎日

徒然なる毎日