文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

雪山で食べるインスタント袋麺

日本海側が雪に埋もれている。私の住む街は埋もれていないけれど、いつもより床が冷え、体も冷える。まだ小学生になる前、初めてスキー場に行った日のことを思い出す。

幼い私を連れて行ってくれたのは親族とその仲間たち。つまり文学フリマで売ったあの本にも書いた、あの国の山岳地帯に共に行った人々。大人たちは雪山登山のように大きなリュックを背負っていた。スキーなのに。

スキー場のロッカーに荷物を預けるわけでもなくリフトに乗る。しばらくは普通にスキーをした。リュックは背負っていたような、そこらに置いていたような、あまり記憶がない。

昼食の時間になった。今度ははっきり覚えている。スキー客の出入りしない、ほぼ山頂の平らな場所へ移動した我々。大人たちは大きなリュックから簡易コンロや調理道具を取り出した。ここでインスタントラーメンを作るというのだ。水筒の水を鍋に入れて沸かす。袋麺の包装を破く。

手渡されたラーメンの椀。いまにも凍えそうな自分の頬が湯気でじんわりと溶けた気がした。究極に寒い中で食べるインスタントラーメンのうまさ。きっと雪山登山や冬キャンプ経験者の皆様なら同意してくださるだろう。

しかし我々はスキー場にいた。すぐに職員の人に見つかり「だめですよ!火は使わないで!いくら雪でも危ないから!」と言われてしまった。そっか、こういうのはだめなんだ。大人たちがしょんぼりしながら片付けるのを見ながら、私はひとつ社会常識を知った。

以後大人たちはちゃんと併設のレストランを利用するようになったのであしからず。大人たちは本当に知らなかったようだ。もしかしたら他の雪山は可能だったのだろうか。

そんなことを思い出したから、今日の昼御飯はインスタント袋麺にした。正月、「おせちに飽きた場合」を想定して買っていたのが丁度ある。家族が出かけてより寒さが際立つ部屋で、インスタントラーメンが体にしみる。来シーズンは我が子にスキーを教えたい。社会常識もね。