文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

湧き上がるものを抑えることはできない

滝のように流れ出る鼻水を何とか堪えながら、マスクをして音楽教室の個人面談へ向かった。内容は主に来期からのレッスンについてだが、もうひとつ確認しておきたいことがあった。

近々我が子は音楽教室主催のちょっとしたイベントに出る予定。そこで本人は今まで習った曲の前後にイントロとエンディングをつける、つまりCDのとおりに演奏したいというのである。テキストの楽譜は12小節程度しか掲載されておらず、基本的にはその部分だけを演奏するのがお決まりなのだが、本人は「イントロ→12小節を2回→エンディング」で毎日弾き狂っているのだった。

実際に先生に本人の演奏録音を聴いてもらい「これ……大丈夫ですかね?」と恐る恐る訊いてみた。先生は笑いながらも、いざ返答するとなるとしっかりとした顔つきで答えてくださった。「音楽を好きな気持ち、演奏したい気持ちや湧き上がるものを、私たち外野が抑えることは出来ないからねえ」

先生ならたぶんそう言ってくれるのではないかと思いつつも、かなり図々しいお願いであった。先生に習っていない部分を演奏するわけだからね。しかしCDを聴いてそれを音楽にする耳は先生に鍛えていただいたものだから、しっかり甘えさせてもらおう。

夕方、子どもに「先生のOK出たよ」と報告すると、本人はニヤリとした顔で喜び、ピアノの練習を始めた。私が「何か書きたい」という気持ちを抑えられずにこのブログを書いたり、本を作ったりするのと一緒なんだよな。それを象徴するかのように、私の鼻水の勢いも衰える気配は無い。