文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

リトルプレスの本屋さんへ行く

家族がみんな出かけたあと、久しぶりに押入れの風呂敷の中にある本を取り出した。11月に文学フリマで売ったあの本のことだ。子どもの学校の用事を済ませ、その勢いでリトルプレスを扱う本屋さんに行くという算段。学校保護者の話し合いの席、私の鞄にはひっそりとエアキャップに包まれた本たちが眠る。

この本屋さんがある場所は私のよく知る街だった。会社員時代、営業所がこのあたりに存在していたのだ。在職中に移転したのでそんなに長く滞在することは無かったけど、勝手知ったる街なので住所を見るだけで「あのあたりだな」と推測できた。

リトルプレスを扱う本屋さんに伺うのは私にとって初めてのことである。本との出会いにワクワクする気持ちでドアを開ける。平日の昼間、静かな店内に吸い込まれるような気持ちで足を踏み入れた。

自分が食いしん坊だからか正午でお腹が空いているからか、妙に食べ物の本が気になるし目につく。珈琲と本の親和性や、サードプレイス・居場所に関する本も多い。このような新形態の本屋さんだからこそ、お客さんも「場所」に興味を持つ人が多いのかもしれない。

リトルプレスだけでなく、通常の書店にある本も存在した。しかしこの限られたスペースに敢えて選ばれ並べられた本たち。まるで店主の方の脳内を覗かせていただいているようだ。

芸術やアート、写真に関する本も目に入った。見覚えのある背表紙、と思ったら尾形亀之助の『美しい街』!!そしてその横には文学フリマでもおなじみのクルミド出版さんの本。ここは詩のコーナーなのか。外は冬から春へと向かうかのような陽気、詩でも読みながら川べりで珈琲でも読めたらいいな、なんて妄想も膨らむ。

そんなことを思いながら結局購入したのはこちら。

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『やさしいひもの』(真鶴出版)。干物の作り方は以前デイリーポータルZでも見かけたことがあるけれど、実際に試したことはまだない。子どもと共同作業で作りたくなった。夏休みの自由研究にも参考になりそう(真夏に干物は微妙だけど、干し野菜とか楽しそうでしょ)。丁寧に作られた冊子から干物愛が伝わってきた。

レジでお金を払って、勇気を出して「私の本を取り扱っていただきたく…」といった内容を伝えた。きちんとアポイントを取って伺ったわけではないのに、軽くお話を聞いていただけた。二冊の本をお渡しし、ゆっくり読んでいただきご検討をとお伝えできた。ありがたい。

お店の建物を出ると、自分がドッと汗をかいていることに気づいた。日差しのせいではないことは明白。再び歩きながら「価格やそれなりの書状を添付すべきだった!」と気づいた。また頃合いをみてご連絡差し上げよう。

この店から街の中へはあっという間。所用を済ませ、いつもの景色を眺めながら交通機関で帰宅する。いつもと同じなのに、何だか違う、不思議な春のはじまり。

 

以前尾形亀之助の『美しい街』について書いた記事はこちら。

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