文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

大人になんかならないで

入浴中、湯船で子どもは卒業式の歌をうたう。普段学校で卒業式の練習をしているからだろう。毒されていないまっすぐな声。まだ年相応に幼い子どもなのだなと実感する。

私が子どもの頃にも歌った懐かしい歌。四季折々の景色が歌詞に盛り込まれている。子どもの学校生活の思い出とリンクして泣きそうになる。花も草も美しい季節に新入生がよちよちやってくる姿、汗ばむ夏にお友達と駆け回る日々……。

自分が子どもの頃よりもそれが輝いて見えるのは、大人になり子ども時代の時間の貴重さを感じるからだろうか。それとも格闘するかのように我が子の成長と向き合ってきたからだろうか。どちらも、かもしれない。

よく「子どもが子どもでいるのは一瞬だから今を大切に」なんて言葉を聞く。言われなくてもそんなことはわかっているわ!とイラつきながら、目の前の課題をひたすら乗り越えてきた。しかし年度末のような区切りの季節に振り返ると、成長を喜ぶともに一抹の寂しさを感じる。このキラキラした眩しい時間がどんどん減ってゆく。成長すればするほど、もっと社会と・自分自身と戦わねばならぬ子ども。ああ、大人になんかならないで。もう少しここでぬくぬく楽しく過ごしていて。そんなの無理と分かっているけど。