文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

財布のリペア(ブランド品を買う意味)

図書館に本を返すため街にやってきた。その流れで百貨店に足を運ぶ。その流れ、と言いながら今日はこちらがメインのような気もする。日傘をくるくる巻いて収納し、滝のように流れる汗をタオルで拭う。そして某ブランド直営店に入った。

普段あまりブランド品に縁のない私が何故ここを訪れたか。それは約10年前に購入し今は押入れにしまい込まれていた財布を修理に出すためである。鮮やかな色の長財布。ブランドのロゴも入っている。3年くらい使ったところで、色落ちや角のスレが気になり使わなくなった。ボロボロだからリサイクル品の店に出したところでお金にもならない。もうそのまま使うことなく何となく思い出として保管されていくのだろう、と思っていた。

しかし昨夜、夫の新しい財布を購入検討しているところで気づいてしまったのである。この手のブランド品というものは、リペアして長く使い続ける品なのではないかということに。検索すると、ダメになる前のほど良きタイミングでリペアし大切に使っている人がチラホラ見受けられた。そうか、ブランド品というのは、こういう使い方をするために高いお金を払うのか。

というわけで私は引き続き汗を拭き拭き店員さんに事情を説明する。店員さんは「これは限定カラーですから難しいかもしれませんね…」と言いながら奥へ確認に。若い子がうやうやしくお茶とチョコレートを運んできてくれる。なんだかリペアごときにすみません。滅多に来ない場所という緊張もあり恐縮し通しである。

戻ってきた店員さんに「やはり一箇所5センチ四方までで5000円となりますね。単純に5センチではなく、箇所ごとにお値段がかかります。色落ちが結構広範囲ですので、かなりの金額になってしまいますね。また、色が合うかどうかは本国に送ってみないとわかりません」とのこと。新しい財布を買った方がマシなレベル。リペアに関してはやはり断然定番品の方が強いのだ。そりゃそうか。私は何故みんな決まりきった制服のようにあの模様やあの素材を購入するのかが分かった気がした。あれは安心を買う意味もあるのだ。

もう少し考えてみます、とお礼を言って私はブランド直営店を出る。プラプラとフロアを冷やかしながらこの後の予定を考える。するとそこで靴修理店が目に入った。バッグの修理もやっているお店だ。ここなら財布もいけるのではないか?

靴修理店の店員さんはあっさり「できますよー」と言った。汚れを取り調色して全体的に塗り直し。修理期間はだいたい6週間。それで金額は思った以上に安価。この店で直すとこの財布は「ブランド直営店の正式な品」ではなくなってしまうし、色も完全に同じではなくなるけれど、綺麗になるならそれでよし。ブランド品を正式なものとして長く使い続けるというのは、他の何かを買う機会からで良かろう。私はこの店にリペアを申し込んだ。

押入れで眠っていた長財布に役目が与えられて良かった。今の長財布もそれなりに愛着を持って使っているけれど、時々休ませ手入れしながらどちらも長く愛用したいものだ。私はいま本屋併設のカフェで涼みながらこれを書いている。今度の旅行用にミニ財布を新調するのもいいな、それはあの定番品にしちゃおうかな、なんて呑気な妄想も重ねつつ。