文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

そこそこ普通の人間が今月観た2本の映画

学校にも職場にも「無類の映画好き」と呼ばれる人がだいたい居るものだ。彼らはひと昔ふた昔前ならば雑誌『ロードショー』を読んでいたり、単館上映の映画を好んでいたりの通な映画マニアだ。

私はそんなに映画が好きというわけではない。けれど観ないとも言い切れない、ごく普通の人間だ。ただ、映画好きや映画館・映画情報を扱う業務に関わる人が何故か周りに数名居た。

意外にもその数名は、映画に近ければ近いほど映画のことを知らない傾向にあった。これは私の周囲だけかもしれないが。映画館勤務の人にリチャード・ギアの話をふったとき、返ってきた言葉は「リチャード・ギアって誰」であった。いやいや君もう数年は映画館で働いてるでしょ!と突っ込んだ次第。だってさすがの私もリチャード・ギアは知っている。『プリティーウーマン』が何度か地上波で流れてた時代の話だし、リチャード・ギアの主演作もいくつかあった。ハチ公のとかさ……。

そこで本人に教わったのだが、少なくともその映画館は「映画に興味がありすぎる人は採用しない」という方針だったようだ。たしかに、娯楽ゆえ好きすぎると業務に差し支えがありそうだ。思い入れがありすぎる作品ばかり上映したがるとか。映画ばかり観て仕事しないとか。あくまでも仕事は仕事と割り切れる人材が求められているのかもしれない。でもリチャード・ギアは知っておいた方が何かと便利なのではないかと思う。今はそうでも無いのかもしれないが。

そんな普通程度に映画を好む私が、珍しく今月は2本も映画を観た。しかもどちらも映画館で。まだ半月しか経っていないのに!ちょっと調子に乗ってしまったかもしれないが、我が人生でどうしても見なければならぬ映画だったのだ。

その映画は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ・アディオス』という。キューバの年配のミュージシャンをとりあげたドキュメンタリー音楽映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の続編である。以前もこの記事→『ジャズ大名』との遭遇 - 文化的生活の記録で少し触れたが、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は私にとってのナンバーワン洋画なのだ。このキューバのミュージシャンたちにレコードショップのCD試聴機(試聴器?)で出会って18年、続編が出たとなればそれを見届けに行かねばならない。

内容は少し前作と重なる部分もあるが、キューバの歴史と貧困の事情、それに伴うミュージシャンの不遇など、前作で描かれるべき事柄も含まれている。これを知ることができて良かった。年齢を重ね老人となってから、ライ・クーダーやファン・デ・マルコスにより集められた彼らだが、辛い時代に共演した過去もあった(そのあたりは映画のお楽しみ)。

また、あれから20年近く経てば当然亡くなったメンバーも多く、彼らとの別れ・それを乗り越えアディオス・ツアーに出る面々の姿は、判っていても胸にくるものがあった。気迫や執念、魂を感じる音楽。

そしてもう一作が、もう話題中の話題であるゾンビ映画『カメラを止めるな』。これは詳細を書けない辛さがハンパない。「予告編見たら楽しみが無くなっちゃうから見ないで、すぐに映画館で観てきて」と、お決まりのことしか言えない。事前情報は少なければ少ないほどいい。あ、ゾンビ映画なんで、食事は前後で摂った方がいいかも。

原作騒動もあったが、この作品の類似としてよく挙げられる日本のあの監督作品、たしかにそうだなと思う。と同時に、『カメラを止めるな』の監督がツイッターで「無意識オマージュかも」と同意していたある外国監督の作品にも似ていると思った。私はその外国監督の作品をその一つしか見ていないのだけど、全体の構成や観る側の気持ちの持っていき方がよく似ている。外国監督の作品はゾンビ映画ではないのだが、ちょっとグロテスクな描写があるところも類似性がある。もちろん、類似性があれども充分に楽しめるし、どちらの監督も「お前ら映画好きすぎるだろ」と小突いてやりたくなるような愛らしさがある。

そうそう、その外国監督の作品も、私は珍しく映画館で観たのだった。その作品も『カメラを止めるな』も、映画館で観るのが断然オススメ。ネタバレを恐れるあまり、外国監督名や作品名を出せないのが悔しいほどだ。

 

追記

このブログを更新した当初、思いっきり「リチャード・ギア」と「ハリソン・フォード」を間違えていたことをお詫び申し上げます!あれ、もしかして私普通の人間どころか、かなり映画知らない部類に入っているのではないか?