文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

聖地巡礼の喜び

これまでに何度か我が子から「ママは小学生の頃にどんな本を読んでいたの」と聞かれてきた。

子どもが生まれてから月齢ごとに本人に合いそうな本を買ってきているが、不思議と自分の幼い頃に読んでいた・見かけた本が現役で販売されていることが多い。書店の店頭で「あ!これママも読んでたよ、懐かしい!」と私が喜んでいるのに我が子もしばしば遭遇しているから、そのような質問になったのだろう。

学校では「怖い話」も流行っていると聞いた。確かに最近「ゲゲゲの鬼太郎」が何度目かのアニメ化で地上波放送されて人気だという。「怖い話といえば『怪談』だね」と私が言うと、子どもは何なにソレ?と身を乗り出した。

私が小学校二年生の頃だっただろうか。夏休みの推薦図書の中に小泉八雲の『怪談』が入っていた。小泉八雲が日本に住んでいた外国の人とテレビで知り興味を持っていたし、さらに『怪談』のなかの一編『耳なし芳一』は学研が発行していた『◯年の学習』で漫画化もされており親しみがあったのだ。

あの『耳なし芳一』のオチは非常に好みで、今思えば落語的でもあるなと思う。娯楽要素はないから落語には向かないかもしれないけれど、きっと稲川淳二はわかってくれる。他の「あなたの知らない恐ろしい話」だとか「ホラー大全集!」みたいなものには全く興味が湧かなかったが、単純な怖さではなく情緒的でしっとりとした怖さのある『怪談』は大好きだった。派生して図書室で小泉八雲の資料を探すなど楽しみも増えた。

それから数年後、同じ小学校時代に私は島根県松江市に行くチャンスを得た。その頃ちょうど松江で菓子博のようなイベントをやっていたのだ。親戚宅に泊まらせてもらい、「さあ翌日はどこへ行きたい?」と大人たちに聞かれた。松江って何があるんだろう。松江城?他には何があるの?そこでふと思い出した。「あの……小泉八雲記念館は遠いですか?」

そう、あの『怪談』の作者・小泉八雲の記念館は松江市にあったのだ。しかもそこには、かつて図書室で調べた小泉八雲の資料に載っていたのと同じ「小泉八雲の使っていた机と椅子」が展示されているという。大人たちは「えっ、遊びじゃなくて記念館なの?」と拍子抜けしつつも喜んで連れて行ってくれた。数々の資料をうっとりと眺め、ついにあの机と対面する。あの『怪談』が書かれたのがこの机なのか、あの資料に載っていたのと全く同じ!私は資料館での喜びの気持ちを未だ忘れることはない。

子どもにその机を見たときの気持ちを説明する。「あなた達で言ったら、そうね、『ゾロリ』の原ゆたか先生の机を見たらこんな気持ちになると思う。ハリー・ポッターの作者とか」すると子どもは「えー!それはすごいね」と感嘆の声をあげるのだった。

先日(Twitterでは誰のライブか書いたけれど)あるミュージシャンのライブを見るためにJRに乗る機会があった。会場最寄駅に行く前に、いったん西広島という駅で下車した我々。そこで我が子も同じような事態に遭遇する。周囲は今の小学生にも大人気『ズッコケ三人組』シリーズの舞台・花山町のモデルとなった町であり、当然西広島駅花山駅のモデルとなっている。改札を出たところにはズッコケ三人組の石碑。我が子は存分に驚き、喜んだ。「ほら、この駅のあのベンチのあたりでモーちゃんが荷物をすり替えられたんだよ*1」と説明する。そんな私もまた、小学生時代にズッコケを愛した者の一人なのだ。

*1:『こちらズッコケ探偵事務所』冒頭のシーン。ポプラ社の試し読みはこちら→

https://www.poplar.co.jp/zukkoke/tachiyomi/8/HTML5/pc.html#/page/8。JRじゃなくて国鉄w