文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作り始めました。

森下典子さんの本

先般亡くなられた樹木希林さん出演の映画『日日是好日』の宣伝を見かけることが増えた。そこで「原作・森下典子」の名を発見し、ハッと息を飲む。

忘れもしないその名前、私が通信制大学時代にヨーロッパの芸術史を学ぶ上で参考にし衝撃を受けた本『前世への冒険』の著者・森下典子さんではないか。

前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って (知恵の森文庫)

前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って (知恵の森文庫)

 

あれは何とも不思議な話であった。森下典子さんが占い師のような人物に前世を見てもらい、告げられた前世について深く知るために調査を始めるという物語。しまいには海外へと調査の旅に繰り出すのだ。

前世だのと聞いて信じる気持ちはあまり起こらないし、どちらかといえば敬遠する。森下さん自身も深く信じては居ない様子。しかし調査をするに従って、占い師のような人物が「見た」ことと、事実の共通点が判明していく。しかもそれはただ文献を調べる程度では分からないことなのだ。つまり、その前世を見る力は本物ってこと……?

私が読んだのはKindle版で、先程Amazonのリンクを貼った2006年光文社発行の『前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って(知恵の森文庫)』であったが、元は別のタイトルだった。一度ではなく複数回改題され現在に至っている。以前、図書館でタイトルが『デジデリオ』のバージョンを読んだのだが、占い師のような人物の名前もKindle版と違っており、改題の際に「占い師の身元がバレないように」と配慮されたのだろうと想像した。

実際のところ、その前世や前世を見る力が本当なのかはどうでも良い(科学的に実証するのも難しいだろうし)。単純にその前世とされる「デジデリオ」という人物を調べようとする姿勢や調査の過程が非常に面白い。ヨーロッパ芸術史を知りたい人にもオススメだ。