文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作っています。

誰にも読まれていない本

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二ヶ月に一度くらいのペースで、小学校の図書室でボランティアをしている。ボランティアというと奉仕の精神と慈愛に満ち溢れた行為というイメージがあるが、実際は「面白そう」「本に触りたい」「図書室にどんな本があるのかチェックしたい」「参観日以外にも我が子の学校に行ってみたい」という、自分勝手な理由で参加している。それが結果的に人の役に立つなら良いことだ、程度の感覚だ。

図書室のボランティア内容は主に本のクリーニングと整理整頓である。図書室にある本は意外と汚れていること、参加してようやく気づいた。これまで自分が利用してきた図書室や図書館でもこのようなクリーニング作業が知らぬ間に行われていたのだろう。司書実習に行く人はこういう作業をするのだろうか?などと考える。本の破れをテープで補修したり、破損を防止するためにあの透明なテープ(ブックフィルム)を本に貼り付けたりもする。

作業をしつつ蔵書を確認するのが至福の時間。やはり「ゾロリ」シリーズは人気で、蔵書数も多いが破損もひどい。「おしりたんてい」シリーズも勢力拡大しているが、過去のリリース数の多さでゾロリの圧勝だ。私の愛した「ズッコケ三人組」も生き残っている。手塚治虫ブラックジャックなどの漫画モノも人気で、新旧同じように愛されているのがわかる。

一方で、古い割に全く手に取られていない本もある。江戸川乱歩のシリーズは人気なのかと思いきや、全く乱れなし。つまり前の整頓以降ほとんど手に取られていないということ。ただ経年劣化しそこにある、という感じだ。

ボランティアに行く日はなるべく子どもに伝えるようにしている。「明日○時から○時まで図書ボランティア行くよ」と言うと、その時間は母親が学校にいるのだと安心するらしい。いつか「恥ずかしい」と思われる時が来るかもしれないが。ある日、ボランティアに行く報告をした流れで図書室の話になった。「新刊入ってたよ」「あの本あの棚にあったね」などと盛り上がる。子の学年でも、まだゾロリは人気らしい。

「でもみんなゾロリとか、人気の本ばかり借りるから、自分はちょっと違う本が読みたい。誰にも読まれてない本、可哀想だもん」

子どものその言葉に、私は激しく同意した。私も小学生の頃に全く同じように考えていた、その気持ちが一気に蘇る。誰も触らない深緑色の文庫を熱心に読んでいたあの頃。あれがなければパール・バックに出会うこともなかっただろう。さらに頭に浮かぶのは図書ボランティアの時に見かけた江戸川乱歩。もう少し大きくなったら、あのあたりにある古い本を我が子が読むのかもしれない。