文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作っています。

自分も幸せに

小春日和*1、スーパーの袋にモナ王を詰めた年配のご婦人とすれ違う。陽気は陽気だが、新型コロナウイルスやインフルエンザを思うとまだ冬だなと思う。ご婦人がどのようにモナ王を食べるか、ふと想像し止めた。私は小学校へと急いでいたのだった。

この時期は年度のまとめということもあって、どの学年も参観日で発表会を観る傾向にある。我が子の学校もそうで、よりによってテーマは将来の夢についてであった。本番までおうちの人には秘密ですよ、と言われていたようで、我が子もニヤニヤするだけで当日を迎えた。

薄々感づいていた通りの夢を子は話した。ついに宇宙関係の夢が一位から陥落したか。続いて我が子は理由を説明する。最後に「そして、みんなを幸せにしたいからです」と言って締めた。

人を幸せにしたい、というのはあらゆる場面でよく耳にする。その言葉の素直さや素晴らしさを思う。それだけ本人が幸せを感じてきたのならば。

同時にほんの少しの違和感がある。それを文学にしたのが綿矢りさの『夢を与える』だと思う。人を幸せにすることも大切だけど、自分も大切にしてほしいと親ながら思う。親だから思うのだろうけど。

そしてそんな捻くれたことを言って逆に子どもが傷ついてはいけないので、私はそれを適宜伝えていくことにした。

夢のためにも頑張らなくちゃね。世界一のアレになるためには世界一努力せねばならんのだよ、と言うと、我が子は一瞬「しまった」と言う顔をして、やはりニヤリと笑ったのだった。

*1:2月にこの表現もアレですが