文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作っています。

私が知らない時間

子どもが軽く熱を出し、私も風邪気味なので二人揃ってクリニックで診察してもらうと「お母さんの方が熱高そうに見えるけどね」と医師が言う。そう言われれば、言われればだけど、頭が熱いような気もする。子どものことばかり考えて、自分の症状のことなどすっかり忘れていた。子どもも「さっきより元気になってきた」なんて言っている。

薬剤師さんに薬をもらいながら少し話す。「まあ週末はゆっくり休んでくださいね……って休めないか、主婦は」と薬剤師さんは笑う。「ま、限界までダラけますわ」と答えると「言うても無理でしょー。ウチなんか姑と同居だから、休めなくて!」…何故か薬剤師さんの身の上話が始まった。

たしかに帰宅後は昼食も作らねばならないし、干しかけの洗濯物が残っている。夕飯はどうしよう。子どもの入浴時には髪も洗ってやらねば。なんだかんだで仕事はある。私は呑気な専業主婦だけど、24時間365日営業であった。

夕方、あまりの悪寒に洗濯物をたたむのをやめてベッドに入った。夫が店屋物をオーダーしてくれ、少し食べてまた横になる。キッチンで引き続き食べている夫と子どもが見える位置で。二人は「ママがマッサージに行ってるときみたいだね」「前にママの大学のイベントで尾道に行ったときも、二人でお好み焼き食べたね」などと話している。私が知らない「夫と子ども二人だけの時間」を覗き見しているようで、体は辛いが何だか楽しい。