文化的生活の記録

「旅文学」の小さな本を作っています。

旅先のフレンチ

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小学生のころ、現在住んでいる街(敢えてどこかは書かないが、もうバレバレのあの街)に旅行者として二度宿泊した。そのときどこで晩御飯を食べ、どこに泊まったんだっけ?と、ふと考える機会があった。

もう随分と薄れてしまった30年前の記憶をなんとか引っ張り出す。家族と海島博(海と島の博覧会)に行ったときは泊まりだった。夜は本通りをぶらつき、その行き止まりの2階にある不二家(あのペコちゃんの不二家)のレストランに行ったんだ。2019年の現在、そのビルにはH&Mがある。

そしてUターンして再び本通りを歩き、平和公園を抜けたところにあるビジネス旅館に泊まった。当時既にそこそこ汚い旅館だったイメージ。いま何となく地図と照らし合わせて、あの旅館じゃなかろうかと思われる場所は特定できた。

二度目はおそらく親族と宮島に行ったあとで、泊まった場所の記憶は全くない。しかし、フレンチレストランに行ったのはよく覚えている。キティちゃん柄のピンクのナイロンリュックを背負いTシャツとキュロット*1という、フレンチに似つかわしくない出で立ちで訪れたから。やはり前回と同じように本通りをさまよい、良い店が見つからず止むを得ず入ったのだった。

今振り返れば「アンデルセンに行けばお財布にも満足度的にも良かったのに」「軽く済ませるなら、むさしでも良いな」と気づくのだが、致し方ない。親族は「良い機会だからフレンチのマナーを教えてあげよう」と、私ときょうだいに指導してくれたのだった。ど田舎はフレンチどころかフォークとナイフを使うような店がないからな。

あのフレンチレストラン、ちょっとアンティークな雰囲気で、重厚感があって、担当のスタッフさんも我々に優しく振舞ってくださる良い店だった。まだ営業しているのだろうか。せっかくだから行きたいなと思うのだけど、ネットで探してもそれらしき店が見つからない。もう閉店や移転をしてしまったのか、私の記憶が間違っているのか。

間違っている可能性も大いにある。大昔の話だし、その翌年に同じメンバーで金沢に旅をしたときも同様にフレンチを食べたからだ。やはり本通りのような商店街で、我々は食事する店を探していた。なかなか好ましい店が無いねぇと疲れ果てていたところ、二階に品の良さそうな看板を見つけたのだ。あれどう?と訊いた私に、親族は「また今年もフレンチ!?旅の初めから散財!?まぁしょうがない、他に良い店が見つからないから」と答えた。

その金沢の店もやはり老舗という雰囲気の、穏やかで優しい店だった記憶があるのだが、なにぶんシチュエーションが似ているため思い浮かべる景色が広島と金沢、どちらも似たようなものなのだ。茶色のような小豆色のような壁で、シャンデリアがあって、テーブルは白い布……そんなのフレンチの定番すぎて、手がかりや違いが何もわからない。ただ、高級だったぶん出来事自体のインパクトがありすぎて、小学校時代の旅先フレンチはずっと心に残っている。テーブルマナーとともに。

旅先の郷土料理を食べるのもいいけれど、お金に余裕があればフレンチも良い。あたり前だが手がかかっていて美味しいし、素材もご当地ものを活かしたりなど工夫されている。そういえば大人になり青森を旅したとき、同じようにぶらぶら店を探した結果フレンチを食べた。あのときも美味しかった。りんごのポタージュなど、はっとさせられるメニュー。またいつか、どこかの旅先で実現したい。

※トップの写真はその青森のフレンチである。弘前のシェ・モアというお店。

*1:キュロットという言葉も懐かしさ満載